千葉県にあるピアノ教室です。楽しく上達!初めてのお子様、プロを目指す方も学んでいます!

「男の子がピアノなんて?」

先日、ネットで調べ物をしていたとき偶然目に付いた書き込みについてです。娘のピアノの発表会を見に行った父親という目線で書かれたもので、ショパンのノクターン という女々しい曲を女の子に混じって男の子が弾いていて、気持ち悪いと・・・。
「男の子がピアノって気持ち悪いですよね?」と問いかけていた。

今から半世紀前ならいざしらず、近年でもまだこんなこという人がいるとは少々驚きを覚えました。これを「偏見だ」とか「無知」だと片付けることは簡単ですが、 では考え改め「いったいこの人に『気持ち悪い』と思わせたものは何だったのだろうか?」「その根源は何であってどこから来たのだろうか?」などと考えてみたりしました。

まず、人にはそれぞれ好き嫌いがあって、どう感じるかも自由ということ。
「私は、猫が気持ち悪いです」
「はいそうですか・・」
「私は貴方が嫌いです」
「はいそうですか・・」
「思う」ということはまず誰しもが自由ということで、これを否定したり、変えさせる必要は全然ないということ。

それをを前提に、では視点を変え、もしこの父親がピアノ以外でも気持ち悪いと思うとしたら何だろう? 例えば「クラシックバレーをやる男の子」「フィギュアスケートをやる男の子」とか、確かめるすべはないけど、この親ならこれらも「気持ち悪い」と思うかも知れない 気がします。共通してることはこの人の頭の中では女性がやるものと思い込んでるものを未成熟の「男の子」がやってるということ。例えばフィギュアの高橋大輔選手を見て気持ち悪いと 思う人はいませんが、でははたして未来の高橋選手を目指し、練習している男の子の姿はこの父親の目にはどう写るんですかね?

つまり私が考える一つの要因としては まだ完成されていない、未発達な男の子がやってる姿がそう思わせたのではないんだろうか。もしこれがプロ選手の大人だったら?「髭を生やした熟年ピアニストがベートーヴェンを 演奏している姿。」「背の高い若い男性選手がオリンピックでフィギュアスケートに出場している姿。」はたまた「舞台衣装に身を包む男性バレーダンサーが劇場で 演技している姿。」いかがでしょうか?お父様。

もう一つは明らかに「無知」が原因。 上に挙げた「ピアノ」も「バレー」も「フィギュアスケート」も本来日本の文化でも固有のものでもないことから、後から勝手に思い込んでる印象がそうさせているに 過ぎない、女性がやるものと・・・

ピアノに関して言えば、何故か日本ではピアノを習う子供は圧倒的に女の子の方が多い。日本の音大のピアノ科はまずほぼ女性。こういった要因が積み重なり、 ピアノ=女性と思い込んでしまってるようです。こういった先入観にとらわれてると思われるふしは他にもあり、例えば指揮者はどうでしょうか? ピアノを女性と思い込んでいる人なら指揮者と聞いて男性というイメージを持ってる人が多いのではないでしょうか?変ですよね・・同じクラシック音楽なのに、何故ピアノは女性で、 指揮は男性でなければならないのでしょうか?有名指揮者が皆男性だからでしょうか?これこそ本当に単なる思い込みであり、単に自分が持つイメージに基づいて決めつけているのに過ぎないということなのです。

ヨーロッパで私が実際見た印象ではフランスではピアノを学ぶ子供の男女比はほぼ半々。コンセルヴァトワールなど音楽専門の教育機関では女性よりも男性の方が多い。 本来クラシック音楽は決して日本のように女性専門の畑ではないという事実を知らないことが最大の原因。 そもそもピアノ・フォルテを発明した職人クリストフォリは男性であり、 歴史に名を残す作曲家もほぼ皆男性。また現代における国際コンクールのグランプリ勝者や現役ピアニストの男女比をご存知でしょうか。日本の音大、あるいは日本のピアノ学習者の 男女比とは正反対ともいえるでしょう。

はっきりいって本来すべて、「気持ち悪い」どうこう、女だ男だ云々言ってられるほど甘い次元の世界ではないということを知らないが故の無知から来た思い込みなのです。

歌にもあるように「♪お髭を生やしたおじさんも、昔はこ・ど・も♪」とあるように、誰でも子供であることを避けては通れません。どの世界のプロであっても子供時代があり、 プロになるべく練習していた頃は存在するのです。子供の未成熟、未完成な姿をみて「気持ち悪い」というのは勝手ですが、いささか悲しくはないでしょうか。

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